専門家に学ぶ 喘息コントロール術

「苦しいが当たり前」ではない 長期管理薬で9割が発作抑制

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 気管支喘息の症状は、喉がヒューヒューする喘鳴や咳、痰、息苦しさなどです。アレルギーで発症する「アトピー型」と、アレルギーが関係しない「非アトピー型」があります。

 喘息の治療は大きく進化しています。かつては喘息で狭くなった気道を拡張させる気管支拡張薬を使った治療が中心でした。

 ところが1990年代から、「吸入ステロイド薬」など長期管理薬を日頃から吸入して炎症を抑えて発作が起こらないようにし、発作時には「短時間作用型β2刺激薬」など発作治療薬を用いるようになりました。

 これは、症状がなくても気道で慢性的に炎症が起こっており、過敏性が増していることが喘息発作につながるからです。原因となる炎症を抑える治療に大きくシフトしたのです。

 さらに2009年、日本で初めての生物学的製剤が登場。「オマリズマブ」という薬で、アレルギー反応を引き起こすIgE抗体の働きを抑えます。従来の長期管理薬が効かなかった患者にも効果を発揮する、画期的な薬として注目を集めました。

 現在の長期管理薬の中心は、吸入ステロイド薬に「長時間作用型β2刺激薬」の薬を配合した配合剤になっており、重症患者を対象にした生物学的製剤も次々に登場しています。薬の選択肢が増えた今、自分に合った薬を選び、長期管理薬を適切に服用すれば、90%以上の患者さんで喘息発作を抑えられます。ところが、患者さんを見ていると、その恩恵を十分に受けられていない人が多い。患者さん自身が、「喘息は苦しいのが当たり前」と思い、病気であることをしっかり認識せず、通り一遍の治療を受けています。これでは、喘息をうまくコントロールして付き合っていくのは難しいでしょう。

(NTT東日本関東病院呼吸器センター・放生雅章センター長)

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