GWは気温高め予報 熱中症を発症しやすい人はこんなタイプ

BBQで熱中症になるケースは意外に多い
BBQで熱中症になるケースは意外に多い(C)日刊ゲンダイ

 全国各地で熱中症患者が続出しているが、ゴールデンウイークはさらに注意が必要だ。気象庁は23日に異常天候早期警戒情報を発表し「4月28日~5月7日は北海道、東北北部、九州南部を除き、平均気温が(例年より)かなり高い」と予想した。熱中症対策はどうすればいいのか? 気象病に詳しい「赤坂パークビル脳神経外科」(東京・赤坂)の福永篤志医師に聞いた。

「この時期の熱中症が怖いのは大して暑く感じなくても熱中症を発症することです」

 熱中症とは、熱失神、熱けいれん、熱疲労、熱射病などを含む暑熱障害の総称をいう。環境省は熱中症を予防するための指標「暑さ指数(WBGT)」を発表しているが、この時期は過信してはいけない。

 WBGTは「湿度」「日射・輻射など周辺の熱環境」「気温」で算出され、「危険」(31度~)、「厳重警戒」(28~31度)、「警戒」(25~28度)、「注意」(25度未満)、「ほぼ安全」(21~25度=運動時での表示)で示される。

 しかし、昨年の6都市(東京、大阪、名古屋など)の最高WBGTの平均値と熱中症による救急搬送人数の関係を調べたところ、5月は11日間が「ほぼ安全」レベルだったが555人が搬送された。19人が搬送された今月22日、群馬県前橋市の午後2時のWBGTは23.4度だった。

 では、昨年のゴールデンウイークはいつが危なかったのか? 「平成29年5月1~7日 全国の熱中症による救急搬送(日別)状況速報値」によると、期間内に422人が搬送され、うち127人が5月5日のこどもの日が断トツで多かった。

 気になるのは、その場所。47人が屋内で、以下、屋外の公園27人、道路17人。屋外の公園から搬送されたのは、生後28日以上満7歳未満の乳幼児4人に対して、成人35人、高齢者59人。“大人”の方が多かった。

「この数字はあくまでも救急車で運ばれた人数。自分ではそうと気づかずに熱中症を発症した大人はもっと多いはずです。公園でスポーツをしていたという人もいるでしょうが、この時期に目立つのは公園内でお弁当を広げバーベキューをして熱中症になるケース。普段は汗をかかず、運動の習慣がない人が、強い日差しの下で利尿効果のあるビールやお茶を片手に肉などを焼いているうちに気分が悪くなる場合もあるのではないでしょうか」

 もちろん、屋内で過ごす時間が長い高齢者も注意が必要だ。

「のどの渇きの感じ方が鈍く水を飲むタイミングが遅れがちの高齢者は、慢性的に脱水状態の人が多い。消化管壁の血流が低下するために血中に内毒素が多くなり、暑熱耐性を低下させる可能性も。心不全や心筋梗塞後遺症などでは心拍出量が制限され、血流の分配が障害されるのでリスクが高くなります。糖尿病も多尿により脱水傾向があり、広範な神経障害から発汗障害が進んでいる可能性があり、危険です」

■炭酸入浴剤で汗をかく練習も

 持病の薬が熱中症の発症リスクをアップさせることもある。なかでも、抗コリン作用のある薬は、エクリン汗腺を刺激するアセチルコリンを抑える作用があるため特に注意したい。例えば不整脈などの治療に使われるアトロピン、パーキンソン病の一部やアレルギー疾患に使われる抗ヒスタミン剤などはアセチルコリンの作用を抑制する。

 熱中症を避けるにはどうすればいいのか?

「汗をかける体に変えることです。通常、人の体は繰り返し暑熱負荷が加わると、汗をかいてその気化熱で体温を下げる体に変化します。その結果、夏の激しい暑さに耐えられるようになるのです。こうした体の変化を暑熱順化といいます」

 日本人の暑熱順化は春から夏にかけて、徐々に気温、湿度などが上昇することで自然に行われる。ところが、急に暑くなると、暑熱順化する暇がない。意識して暑熱順化する工夫をするしかない。

「1日1回、2~3時間は外に出て、汗ばむ程度の運動をすることです。お風呂も効果がありますが、暑熱順化が成立するには38度の核心温を連続して1.5時間程度維持し、それを2週間続けることが必要です。しかし、42度の湯に10分間漬かっても核心温38度を維持できる時間は数分。これでは暑熱順化するのは無理です。目の前の熱中症に間に合いません。サウナを使うのも手ですが、中高年には体の負担が大きい」

 現実的なのは市販の発泡入浴剤だ。民間の研究で、ある発泡入浴剤を使って2週間入浴すると20%発汗量が増えた、という報告もある。

「とにかく水をこまめに飲む。自分の体を過信せず暑い場所には長くとどまらない。年配者はクーラーを早めに使う。2階で寝る人は昼間の熱気を逃がすため窓を開けることです」

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