Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

石弘光さんはステージ4 すい臓がんは尾道方式で早期発見

石弘光さん(C)日刊ゲンダイ

 抗がん剤のアブラキサンとゲムシタビンの投与が効果的で、リンパ節転移はあっても、がんは縮小しているとのこと。それで、囲碁や旅行、コラムの執筆などに邁進できるのでしょう。

■5年生存率は全国平均の3倍

「趣味が、がんと闘える一つの武器」という言葉は、まったくその通りですが、やっぱり怖いがんですから、読者の方は早期発見を心掛けるのが無難で、早期発見に役立つのが「尾道方式」です。どんな仕組みかご紹介します。

 すい臓がんは、「糖尿病」「肥満」「喫煙」「家族にすい臓がん患者がいる」などがリスクで、市内のクリニックを受診した人の中にこれらに該当する人がいる場合、腹部超音波検査ですい臓を検査。異常があれば、すぐに中心となるJA尾道総合病院を紹介して精密検査――。

 この流れをしっかりした結果、5年生存率が全国平均の3倍近い20%に向上。取り組み前はほぼゼロでしたから、劇的でしょう。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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