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抗体製剤は予期していなかった副作用が表れる可能性がある

(C)日刊ゲンダイ

■非常に高額だが驚異的な治療成績

 抗体製剤の中でも、近年とりわけ騒がれているのが「オプジーボ」や「キイトルーダ」といった免疫チェックポイント阻害剤です。いずれも年間1000万円以上かかり、非常に高価であるということ。そして、全く新しい作用により、これまで抗がん剤治療をしても短命だった肺がんなどにおいて、驚異的に良い治療成績を挙げていることが話題になっている理由です。

 副作用が少ない薬ではあるものの、免疫に働きかける全く新しい作用の抗がん剤であることから、予期していなかった副作用も指摘されています。甲状腺炎(甲状腺機能低下症など)、下垂体炎(下垂体機能低下症など)とともに、1型糖尿病が起こるという報告もあります。

 免疫チェックポイント阻害剤を使って、急激な血糖値の上昇、もしくは口渇、多飲、多尿、全身倦怠感といった症状が表れた場合は、薬剤性の劇症1型糖尿病を疑う必要があるかもしれません。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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