ストレスによる歯のトラブル

朝の歯痛や知覚過敏なら「歯ぎしり」が原因ということも

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 4月の新生活から1カ月。新入生、新入社員はもちろん、出世した人、生活苦からパートを始めた人、定年後の再雇用で嘱託になった人、引っ越した人など新たな環境に「ストレスがピーク」という人も多いはず。そのストレスが知らぬ間に歯のトラブルとして表れることがあるから注意したい。

 自由診療歯科医で「八重洲歯科クリニック」(東京・京橋)の木村陽介院長が言う。

「この時期は“朝起きて突然歯が痛くなった”“冷たいものが染みるようになった”“朝起きると顎の関節が痛い”などの訴えが目立ちます。診察してみると原因は歯ぎしりということが少なくありません」

■ボツリヌス菌注射で治す

 歯ぎしりには3つのタイプがある。1つはグライディングと呼ばれる無意識のうちに上下の歯をこすり合わせるタイプ。横方向の力が加わるため、クラウンと呼ばれる詰め物が取れたり、歯周病の原因になったりする。

「昔の人は日常的に硬い食べ物を口にしていたために歯面がすり減り平らでしたが、いまは違う。そのためこのタイプの歯ぎしりは増えている印象があります」

 もう1つは上下の歯を強く食いしばるクレンチング。通常、上下の歯の間には数ミリの隙間があって、食事の時間を含めても1日のうちに歯がピッタリ噛み合うのは数十分程度に過ぎない。ところがクレンチングの人は昼夜問わず歯を食いしばっているため、歯の根元に負担がかかり、歯が割れたり、くさび状欠損ができたり、冷たいものなどが染みる知覚過敏を起こす。

「四六時中食いしばっているため噛むための咬筋や側頭筋が酷使され硬直しているため、患者さんの表情もどこか硬い」

 最後はタッピングといわれる、カチカチ音を立てて歯を鳴らすタイプ。こちらは患者も少なく影響も大きくない。

 では、深刻な歯ぎしりを治すにはどうすればいいのか?

「ナイトガードと呼ばれるマウスピースをつけるのも手ですが、注目はボツリヌス菌注射による治療です。無毒化したボツリヌス菌を過度に発達した咬筋に注射します。注射して3日くらいから食いしばりの力に変化があらわれ、6カ月程度効果が続きます。過度に盛り上がった咬筋がすっきりし、えらの張りがとれて、表情が柔らかくなると喜ばれています」

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