ベストセラー名医の健康法

“天皇の執刀医”天野篤氏は年間40Rのゴルフでストレス解消

天野篤氏
天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 自分に課している高いレベルの手術を維持するためには、「ストレス」を排除することが大切だと考えています。

 20代後半の研修医時代からいまに至るまで、ほぼ毎日、手術があれば病院で寝泊まりする生活を続けているのもその一環といえます。もちろん、いつ緊急手術が入ってもすぐに対応できるように備えておくという意味合いが大きいのですが、なるべく自分がストレスを受けない環境をつくるという側面もあるのです。

 毎日、自宅に帰って家族と一緒に過ごすことでリフレッシュできる人もいるでしょう。しかし、子供が成人する前後からは、不要な干渉はお互いのストレスになってきます。また、通勤時間も大きなストレスになります。クルマだと交通渋滞がありますし、満員電車で人にもまれながら通勤するのも大変な苦痛です。

 肉体的にも精神的にも楽に手術を行うことができれば、余計なストレスを感じることもなくなります。そのため、2015年からはお酒をきっぱりやめました。また、腸内細菌のバランスをコントロールするためにビオフェルミンも飲んでいます。腸内環境を改善すると、さまざまな病気のリスクが軽減されたり、イラ立ちが抑えられて精神的にも安定すると、同僚医師に勧められたことがきっかけです。成果はしっかり出ていると実感しています。

 ストレス解消のために大いに役立っているのがゴルフです。真夏と真冬以外の休日はできるだけコースに出るようにしていて、年間40ラウンドが目標です。

 年に数回、自分が手術を行って元気になった患者さんたちともゴルフをしています。どれだけ回復したのかを確認することができますし、気心の知れた仲間のサークルのような感覚で楽しめるのです。

 ですから、自分にとってのゴルフは、体力の維持というよりは精神面のリフレッシュにつながっているといえます。

 1000床以上のいわゆる大病院の院長をしながら、週に7~8件の手術を執刀できているのも決定的な気力と体力の衰えを感じていないからです。心臓外科医の“賞味期限”は年齢ではないと思っています。

▽天野篤(順天堂大学医学部付属順天堂医院院長)
 心臓血管外科が専門。2012年2月に天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。日本大学医学部卒。02年に順天堂大学の心臓血管外科教授に就任し、16年からは同大付属医院の院長を兼務。著書に「一途一心、命をつなぐ」(飛鳥新社)、「熱く生きる」(セブン&アイ出版)、「この道を生きる、心臓外科ひとすじ」(NHK出版)などがある。

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