行楽に持参するなら 子供の飲み物&食べ物を見直してみる

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 5月は気温湿度とも快適な日が多いため、子供を連れて遊びに出かける人もいるだろう。その際は子供の飲み物と食べ物に注意したい。横浜創英短期大学名誉教授の則岡孝子氏(栄養学)に聞いた。

「初夏の時期でも熱中症を防ぐために水分補給は大切です。しかし、スポーツドリンクや炭酸飲料などの清涼飲料水ばかり飲ませていると、『ペットボトル症候群』に見舞われかねません」

 市販のスポーツドリンクや清涼飲料水の多くは、100ミリリットル当たり5~10グラム程度と多量の糖分が含まれている。水分補給のためにそれらを大量に飲むと、想像以上に高血糖状態となる。高血糖になると喉が渇くため、再び清涼飲料水を飲む。これを繰り返しているうちにさらなる高血糖を招き、インスリンがうまく働けなくなって糖分を処理できなくなる。

 その結果、全身倦怠感、腹痛、嘔吐といった症状が表れたり、意識障害を起こして昏睡状態になってしまうケースもある。これが、ペットボトル症候群とも呼ばれる「ソフトドリンクケトーシス」で、早急な治療が必要になる。

「体内で糖分をエネルギーに変換するにはビタミンB1が必要ですが、近年の日本人はビタミンB1の摂取量が推奨量に足りていないというデータもあります。そのため、糖分の大量摂取にはより気を付ける必要があります。水分補給はスポーツドリンクなどの清涼飲料水ではなく、糖分が含まれていないうえにカリウムなどのミネラルが豊富な麦茶やほうじ茶がおすすめです」

■好きなものばかりだと…

 行楽に持参することも多い弁当にも気を配りたい。

 子供の好きなおかずといえば、ハンバーグ、ウインナー、鶏の唐揚げやチキンナゲット、フライドポテトなどが挙がる。

「いくら子供が好きだからといってお弁当にそうしたおかずばかりを並べると、脂肪分が過剰なうえに栄養がタンパク質に大きく偏ります。食物繊維やビタミンも不足していてエネルギー過多になり、肥満につながります」

 近年は子供の運動不足が指摘されていて、ここ30年で肥満傾向の子供が3倍近く増えているという報告もある。肥満は糖尿病、心臓疾患、がんなどさまざまな病気のリスク因子になるから、子供の頃から対策しておきたい。

「お弁当は子供の好きなおかずばかりではなく、ミニトマト、レタス、おにぎりなど、『赤、緑、白』を組み合わせることを意識しましょう」

 おかずの組み合わせだけでなく、調味料も一工夫したほうがいい。

「作ってからしばらく時間を置いて食べるお弁当の場合、おかずに調味料が染み込んで味が薄まってしまいます。そのため、お弁当を作る時は普段より調味料を多く使う人もいますが、それでは塩分過多になってしまう。それを防ぐためにも、塩、醤油、ソース、ケチャップ、マヨネーズといった調味料は小分けにして持参し、食べるときにかけるようにしてください。そうすることで、調味料の量を減らしながらしっかり味を感じることができます」

 子供の頃から塩分過多な食事を続けていると、大人になっても濃い味でなければ満足できなくなってしまう。これは、高血圧やがんのリスクをアップさせることになる。

 子供と接する機会が増える時期だからこそ、子供の飲み物と食べ物を見直してはどうか。