■データの蓄積によって予見できる
五感を一つでも失うとQOL(生活の質)が大幅に低下します。それがずっと続く不可逆性難聴は、より重篤な副作用といっていいでしょう。シスプラチンは、小児、高齢者、腎機能低下者に用いることで副作用が起きやすくなります。また、ある一定量を超えると難聴の発現頻度が高くなり、1日の投与量が150ミリグラムを超えるとほとんどの症例で難聴が出現することが知られています。
アミノグリコシド系抗菌薬(ストレプトマイシンなど)による副作用は、遺伝的要因によって起こりやすい人がいることが分かっています。
これらは、これまでのデータの蓄積によって予見できるものです。そうしたエビデンス(科学的根拠)が、患者さんの健康と安全を守ることにつながっているのです。
クスリと正しく付き合う