男性患者にもメリット 白斑の悩みは専用化粧品で解決する

メーク前(上)とメーク後
メーク前(上)とメーク後(提供)メディカルメイクアップアソシエーション

「尋常性白斑」は、皮膚の色がくっきりはっきり白く抜ける病気だ。顔、手、体、足と体のどこにでも起こる。対処法として「カムフラージュメーク」が有効だが、男性患者の間では十分に認知されているとは言い難い。東京医科大学病院で白斑の診療に携わる皮膚科・阿部名美子講師に聞いた。

 白斑には先天性と後天性があり、尋常性白斑は後天性。子供から大人、高齢者にまで見られる進行性の病気だ。

「人口の0.5~1%程度に起こり、比較的多いです。明らかな遺伝形式はありませんが、20~30%に家庭内発生があるといわれています。皮膚の基底層に分布し、皮膚の色に関係するメラノサイト(色素細胞)が減少・消失することで発症しますが、なぜ起こるのかは分かっていません」

 自己免疫疾患のひとつと考えられていて、免疫系が関係する病気を合わせて発症することもある。甲状腺機能異常症、膠原病、慢性C型肝炎、糖尿病、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎などだ。

■タイプは3つ

 尋常性白斑は、3つの型に分類される。神経支配領域と関係なく左右対称に白斑が見られるのが「非分節型」。新しく白斑ができる時期と白斑の拡大が落ち着く時期を繰り返す。

 一方、神経支配領域に一致して片側に生じるのが「分節型」。数年間は白斑が拡大あるいは新生し、その後、固定する。分節型から非分節型に移行する「混合型」もある。

「治療は、ステロイド外用薬などの外用療法、紫外線療法、手術療法、すべての皮膚を白斑にしてしまう脱色素療法があり、拡大・新生が見られる進行期か、1年以上変化がない固定期かで治療法が異なります」

 進行期は主に外用療法、紫外線療法。治療効果が出てくるのは約3カ月後からだ。固定期になると、手術療法、脱色素療法(保険適用外)も検討される。長期にわたるステロイド外用薬では副作用に注意しなければならない(外用を中止すればほとんど治まる)。

 紫外線は無駄に継続すると皮膚がんのリスクが高まる。

「顔、首は他部位に比べて治りやすく、発症して間もない時期は効果が出やすいです。しかし、男性の口周りなど刺激が加わりやすい部位は症状を繰り返しやすく、手足や膝など飛び出ている部分は難治です。陰部はこすれやすいので再発しやすく、治療の副作用も出やすいです」

 白斑の治療は、残念ながら「○○○をやればOK。完治する」とはなりづらい。さらに治療に長期間を要することも多い。

 そこで副作用がなく、白斑部分を隠せ、白斑を悪化させる日焼け対策に有効なのが、カムフラージュメークだ。専用の化粧品が、「メディカルメイクアップアソシエーション(MMA)」「資生堂」「マーシュ・フィールド」メーカーから出ている。

■プールも平気

 MMAの実演を見たが、額に広範囲の白斑がある男性に肌色に合わせた色のファンデーションを塗ると、近くで見ても白斑が分からないほど。フィット感が強く、プールに入っても落ちないという。

 男性では抵抗感を抱く人も多いが、試した後は「前向きな気分になる」「目立たなくなり気分が良くなる」「相当メリットはある」といった声が出ている。

「ストレスを減らしていかに白斑と付き合うか。そういう意味で、カムフラージュメークは非常に役立つと思います」

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