独白 愉快な“病人”たち

2度も生かされて…空間デザイナー黒田朋子さん闘病を独白

黒田朋子さん(C)日刊ゲンダイ

■3年後に再発がわかり…

 それから5クールの抗がん剤治療を経て、骨髄移植を行いました。“生かされている”人生のありがたさや重みに気づきましたね。その後、退院許可が下りて帰宅したのですが、一日に20~30回もの下痢や腹痛に見舞われ、再入院することになりました。胃や小腸、大腸の粘膜がほぼ剥がれ落ち、口内炎も口いっぱいに広がって、合併症が始まっていたのです。

 激しい痛みを緩和するため、モルヒネ投与を開始しました。幻聴や幻覚があって、その頃のことはあまり覚えていません。結局、半年くらいで回復したけれど、食欲減退で食べ物は喉も通らず、食べること自体が苦痛で仕方ありませんでした。味覚障害も出て、チョコレートが醤油、コーラがコーヒー味になりました。

 5年で完治と呼ばれる中、およそ3年後の2016年10月に再発がわかりました。もし骨髄移植から4年を迎えたら、凍結卵を戻すための準備をしようと思っていた矢先だったので、なおさら「すべてがリセット」されたようでした。あの苦しみを越えてもまだ、白血病細胞が残っていたのかという絶望と、またあの地獄のような日々を経験せねばならないのかという思いでした。

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