天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

「不眠」「睡眠薬」「心臓疾患」は密接につながっている

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

■睡眠薬に依存している人は高血圧体質が多い

 ただ、睡眠薬というのはいったん使い始めると徐々に効かなくなることもあり、一度効果が薄れるとどんどん効き目が強いものに進んでしまいます。8割方はそうした推移をたどり、依存性も表れます。繰り返し睡眠薬を使っていると、効果が切れてきたときに脳が薬を欲するようになるのです。かといって、急に薬をやめると今度は離脱症状が表れます。そうした厄介な依存性により、中には複数の医療機関からいくつも睡眠薬を処方され、フラフラになってしまっている高齢者も少なくありません。

 2014年の米国心臓学会では、ある種の睡眠薬に依存している患者さんは、心臓発作のリスクが50%アップするという研究が報告されています。なぜそうなのかの仕組みはまだわかっていませんが、急性心筋梗塞だけでなく、大動脈解離のリスクも増加したといいます。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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