身近な山も要注意 登山前に受けるべき検査を山岳医に聞く

対策はしっかり(C)日刊ゲンダイ

 この男性は倒れた後、周囲が呼びかけても反応がない状態で、脈は触れず、不規則な自発呼吸があった。心肺蘇生を開始したが、すぐに自発呼吸がなくなり、AED(自動体外式除細動器)をしたものの蘇生しなかった。

「山では何が起こるか分かりません。アップダウンのある山道を歩くことによる心臓への負担に加え、山の高度によっては低酸素でさらに心臓へ負担をかけます。また汗をかいたり、呼吸による水分不足の問題もあります」

 登山初日の午前中に突然死は起きやすく、睡眠不足や過度の飲酒が関連していることも分かっている。前述の男性は残念ながらAEDでも蘇生しなかったが、「倒れた場所の近くにAEDがなかった」というケースもある。

「最近は1人で登山をする中高年もよく見かけますが、何かあった場合、手の打ちようがない。また、“登山の三種の神器”と呼んでいる雨具、ヘッドライト、水分を含む食べ物すら持っていない無謀な登山者もいます」

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