がんと向き合い生きていく

3度のがんと闘いながら亡くなる直前まで前向きに生きた

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 Mさんは泣き出しそうになりながら一気に話され、それでも、最後は少し笑顔が見られました。急に夫を失ったMさんには、大変な悲しみの中でも病院や担当医に対する感謝の気持ちがあり、それがわずかでも悲しみを和らげてくれているのではないかと思いました。

■衣笠祥雄さんもそうだった

 先日、「鉄人」と呼ばれた元プロ野球選手の衣笠祥雄さん(享年71)が大腸がんで亡くなられました。現役時代は、どんなにケガをしても骨折しても試合に出場し続け、「ケガの痛みよりも、休んで家でテレビを見ている方がつらいのです」と語っていた姿を思い出します。

 衣笠さんのがんの状態の詳細は分かりませんが、おそらく厳しい状況になっていたのだと思われます。それでも、衣笠さんには次の試合の解説を務める予定があったと聞きます。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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