自律神経が乱れるこの季節 医師が実践するシンプルな習慣

不調は食で治す
不調は食で治す(C)日刊ゲンダイ

 寒暖の差が激しい。体調を崩さないために、気を付けるべきことは何か? 池谷医院・池谷敏郎院長に聞いた。

 今年は、早くも4月に30度を超える真夏日が訪れた。ところが先週9日は、関東や東北で3月並みの寒さに。東京都心で5月に2日連続15度以下になるのは10年ぶりで、関東の山沿いでは朝の冷え込みで雨が雪に変わったという。そしてご存じの通り、週末には気温が急上昇。「暑い↓寒い↓暑い」といった目まぐるしい気温変化に、体がついていかないと感じている人も多いだろう。

「この時季、特に気を付けたいのが自律神経の乱れです。気温の上下が激しいということは、気圧の変動が激しいということ。これが交感神経と副交感神経でバランスを取っている自律神経に影響を与えるのです」

 一般的に、交感神経は目覚め前から徐々に活動が高まり、日中にピークを迎え、夕方から夜にかけて静まっていく。それに伴い活動が高まっていくのが副交感神経。寝ている間は副交感神経が優位で、目覚めが近づくにつれ静まっていく。

「交感神経と副交感神経の切り替えは自然に行われるのが理想。ところが気温の変化や生活習慣の乱れなどで、交感神経、副交感神経のどちらか、あるいは両方の働きが弱まったり、バランスが崩れたりすると、全身にさまざまな不調が生じます」

 自律神経は、血管、心臓、胃、腸、腎臓など全身の臓器に関係している神経だからだ。

 自律神経の乱れによる不調は幅広く、頭痛、めまい、耳鳴り、肩凝り、腰痛、動悸、胸焼け、腹部膨満感、便秘・下痢、性欲減退、全身のだるさ、疲労感、イライラ、不安感など挙げればキリがない。

「重要なのは、今が自律神経が乱れやすい季節だと意識し、より乱す要因になる生活習慣を改めること。自律神経を甘く見ていると、不調が不調を呼ぶ悪循環に陥り、長く体調不良を抱えることになりかねません」

■決まった時間に起きることも重要

 池谷院長が特にポイントとして挙げるのが、睡眠と食事だ。

 まず睡眠は、「起きる時間を一定にする」。自律神経は、体内時計と相互関係にある。体内時計は毎朝、決まった時間に太陽の光を浴びることでリセットされる。週末に昼くらいまで寝る生活を送っていると、体内時計の乱れ、つまり自律神経の乱れにつながる。

「睡眠不足と感じたら、早めに就寝を。また、20分以内の昼寝なら夜の眠りに悪影響を与えません」

「自律神経を整える『医者の自分ごはん』」の著書もある池谷院長が自身も実践しているのが1日3食の規則正しい食事に加え、「糖質オンリー食を避ける」「ベジ・ソイファースト」「減塩」「腸内細菌を増やす」。

「血糖値の変動、塩分過多は交感神経を緊張させます。腸内環境が悪化すると自律神経が乱れ、その逆も言えます。ご飯、麺、パン、イモ、フルーツといった糖質オンリー食は血糖値の急上昇・急下降を招きますので、極力避ける。ベジ・ソイファーストで食物繊維やタンパク質を先に取ると、糖質が体内で吸収・分解されるスピードを緩やかにします。レモン汁を塩の代わりに使うのもいい」

 池谷院長の代表的な1日の食事は右の通り。

・朝=7時に、無糖コーヒー、手作り野菜ジュース、蒸し大豆をトッピングしたヨーグルト。
・昼=14時に、コンビニ食。蒸し鶏やゆで卵、ツナなどのタンパク源が入ったサラダ、豚肉のショウガ焼きやおでんなどのおかず、糖分の少ない野菜ジュースが定番。
・夜=20時に、妻が作ったご飯、味噌汁、魚中心のおかず、サラダ。

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