独白 愉快な“病人”たち

宝塚退団し過食症に 真織由季さんとストレスケアの出会い

ストレスケアカウンセラーとしても活動する真織由季さん(C)日刊ゲンダイ

「精神安定剤を出してあげるから、すぐ舞台に出なさい」

 今から24年ほど前のことです。担ぎ込まれた奈落(舞台下)の診療室(現在は地上階にある)でそう言われました。宝塚劇場で主役を務める舞台の真っ最中、お芝居と歌謡ショーの間の30分休憩中に、全身の硬直と過呼吸で倒れてしまったのです。

 当時、私は27歳でした。診療室にいた市民病院の内科医から「パニック障害による過呼吸」と診断され、紙袋を使って自分の吐いた息を吸う応急処置を受けました。ただ、「舞台に出なさい」と言われても、とても出ていける精神状態ではありません。ショーでは私が歌うはずだった曲が、まさかの歌ナシで流れるという宝塚史上あり得ない事態となりました。もちろん、上級生からは総スカンでした(笑い)。

 当時はただの「イヤイヤ病」としか思われなかったんですよね。自分でも「心が弱いんだ」と思っていたので、気合で治そうとしていました。

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