がんと闘う人々

肝臓がん<3>4度目も新しいカテーテルで切り抜けた

石川廣司さん(提供写真)

 ところが、同年暮れに無情にも4度目の肝臓がんに襲われてしまう。担当医師は、「今度の肝細胞がんは、前回(2015年10月)と同じような箇所の横隔膜近くに、2センチ以上のがんがあります。わずか1年でがんが再発するのは、その箇所にがん細胞の病巣があるのでしょう。それを完全に除去しなければなりません」と説明し、治療法として「肝動脈化学塞栓術」を勧めた。同術は、足の付け根から挿入したカテーテルを肝臓内の細い動脈にまで通し、抗がん剤を腫瘍に直接投与して死滅させるものだった。

 しかし、ここで問題が起こった。肝臓内の動脈が細く曲がりくねっているためカテーテルが通らない。担当医は経験や技術も豊富で信頼できる医師だったが、2時間も奮闘してついに治療を断念した。担当医からは「最初に手術を受けた病院(日大板橋病院)に戻って再手術を受けてはどうか」と勧められたが、断った。

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