専門家に学ぶ 喘息コントロール術

患者が気付いていない…喘息症状悪化の意外な原因

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 気管支喘息の治療では、問診票を用いて質問をしていきます。問診票はコミュニケーションツールとしての役割を担っています。

 喘息コントロール状態を点数で客観的に評価する「喘息コントロールテスト(ACT)」や「ACQスコア」などを用いることもあります。しかしこれらは、「点数で喘息の状態を知りたい」というより、前回と今回の結果を比べて、「良く(悪く)なっている理由はどうしてか」を患者さんと共に考えるためのツールです。これが、喘息の現状を患者さんがしっかり把握するのに役立ちます。さらに力を入れているのが、隠れている原因をしっかりあぶり出すこと。喘息という同じ疾患であっても、人によって症状をコントロールできない原因はさまざまです。

 先に挙げたACTやACQスコアで、たとえば、今回の結果が前回より良く(悪く)なっている場合、その間に起こった変化を丁寧に聞いていくことで、隠れている原因を見つけるヒントにもなります。患者さんは意外に喘息を悪化させている原因に気付いていません。あるいは、うっすら気付いているけれども、深刻に捉えていません。

 喘息をはじめとする呼吸器疾患には、たばこが絶対に良くないのですが、家族に喫煙者がいて受動喫煙で喘息発作が治まっていないケース、そればかりか、喘息の患者さん自身がたばこを吸っているケースもあるのです。

 そういった患者さんにとっては、私の「たばこをやめてください」という言葉は、「以前は大丈夫だったのに」といった反発材料になります。「薬だけ出してくれればいい」と言う患者さんもいますが、嫌われ役になってでも、「喘息にたばこは駄目」と根気よく伝え、理解してもらうようにしています。

(NTT東日本関東病院呼吸器センター・放生雅章センター長)

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