Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

日本は8割手術だが 子宮頸がんは“切らずに治す”が世界標準

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「マザーキラー」という言葉をご存じでしょうか。欧米で子宮頚がんの別名として使われます。手術で子宮を摘出するつらさに加え、若い母親が子供を残して亡くなるつらさを意味するのです。

 子宮頚がんは、毎年約1万2000人が発症し、約3000人が命を落としています。2000年代になり、30歳前後の若い女性に増えているのが特徴です。日本も「マザーキラー」に苦しむ家庭があるのです。

 ただし、子宮頚がんはセックスによって媒介されるHPVというウイルス感染が原因。そのワクチンを巡っては、副反応問題がありましたが、ワクチンの影響ではないということで決着がつきつつあります。ワクチン接種が再び広がれば予防できますし、万が一、発症しても化学放射線治療があります。このことは忘れないでください。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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