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【骨盤臓器脱手術】SEXトラブルや合併症なく若い女性にお勧め

永尾光一教授(提供写真)

 そして、腹部に数カ所の小さな穴をあけて手術する腹腔鏡によって、メッシュで修復する「LSC手術」だ。

 しかし、これらの術式には当然、メリットとデメリットがある。特に、異物であるメッシュを用いると問題があることが分かってきた。そこで永尾光一教授が考案したのが「従来法+真皮移植術」で、通称「永尾法」。メッシュの代わりに自家組織(患者本人の真皮)を使う。既存の術式の欠点をこう言う。

「従来式は、異物は使わないので安全性は高いが再発が多い。TVM手術では効果は確実ですが、腟の傷痕からメッシュが露出したり、性交時の痛みなどの合併症が多い。LSC手術は、腟の一番奥の部分にメッシュを縫い付けるので合併症は少ないですが、手術が大がかりになります」

■保険も効いて6泊7日の入院でOK

 2011年には米国FDA(食品医薬品局)がTVM手術のリスクに対して警告を発している。その影響で、欧米ではメッシュを用いた手術は、ほとんどがLSC手術で行われている。いまでもTVM手術を行っているのは、フランスと日本くらいという。

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