記憶や運動能力も良くなる? コーヒーの効果とメカニズム

最近はコーヒーで記憶力や運動能力が良くなるとの指摘も(C)日刊ゲンダイ

「コーヒーには多くの成分が含まれていますが、飲むと眠気が消えたり、頭痛が治ったりするのは、主に薬効成分であるカフェインが入っているからです。その量は1杯のコーヒーで180ミリグラム程度。カフェインは脳や腎臓などの細胞の表面にあるアデノシン受容体(AR)を阻害することで効果を発揮します」

 アデノシンとは遺伝子の本体となるDNA(デオキシリボ核酸)や遺伝情報の伝達やタンパク質の合成などに関わるRNAの材料であり、生命のエネルギー通貨と呼ばれるATP(アデノシン三リン酸)を構成する物質。細胞外にもわずかながら存在し、抑制性神経伝達物質として働く。

 細胞の表面にあるARに結合することで神経活動は安定化する。逆に結合が遮断されると神経細胞は興奮する。そのため、わずかな量であっても体に変化を与えることができるという。

 例えば、仕事や運動で脳が疲労するとエネルギー(ATP)代謝の残りカスとしてアデノシンが産出される。それが大脳基底核にあるARと結合すると、興奮や覚醒、快楽や不安などの情動が抑えられて眠気を催す。

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