記憶や運動能力も良くなる? コーヒーの効果とメカニズム

最近はコーヒーで記憶力や運動能力が良くなるとの指摘も(C)日刊ゲンダイ

「一方、カフェインの分子構造はこのアデノシンと似ているため、ARに結合することでアデノシンの作用を遮断する。間接的に興奮性神経伝達物質のグルタミン酸やドーパミンなどを放出させて、大脳基底核から線条体や大脳皮質に投射する神経回路を興奮させるのです」

■神経を抑制する物質を抑制する

 カフェインはさらに心臓や肝臓で「闘争・逃走」ホルモンであるアドレナリン系シグナル伝達経路を間接的に活性化して、脈拍を増大。筋肉を収縮させる。肝臓ではグリコーゲンを分解してグルコースを血中に放出するなどの作用がある。そのため、カフェインが体内に入ると元気になる。

 また、アデノシンは脳の中では血管を弛緩させて頭痛を起こす。カフェインはその作用を阻害するため、頭痛薬としても使われている。

「最近はコーヒーを飲むとカフェインの効果で記憶力や運動能力が良くなる、との可能性も指摘されてます。コーヒーは飲んですぐ効果が出るというのは、カフェインが人の体に吸収しやすいからでしょう。大人なら口から入って30分から2時間ほどで最高血中濃度に到達し、その量が半分になるまでに2~8時間程度かかります。しかも、脳幹なども容易に通過するため、全身に作用しやすいのです」

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