こうした“逆流”が頻繁に起こると、静脈内にある静脈血栓が左心房に流れ込んで左心室↓大動脈↓脳動脈と流れて奇異性脳梗塞を起こしたり、左心室から肺を通らずに脳動脈に達したセロトニンなどの頭痛の原因物質が片頭痛を引き起こすのではないかと考えられているのです。
欧米では片頭痛の患者に対するカテーテル閉鎖術が行われているといいます。日本では、岡山大学が奇異性脳梗塞を起こした人の再発予防のために卵円孔開存のカテーテル閉鎖術を実施したところ、片頭痛のあった奇異性脳梗塞の患者19人のうち13人が術後に片頭痛が消失し、5人に顕著な改善が見られたと報告されています。
卵円孔開存かどうかは心臓エコー検査で分かります。今後の研究で、卵円孔開存と片頭痛の関係がもっと詳しく解明されれば、心臓を治して頭痛を改善するという治療法が広まるかもしれません。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」