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26年ぶりの報告 「ギラン・バレー症候群」日本発の新治療法

桑原聡教授(提供写真)

 治験は、ギラン・バレー症候群に罹患してから2週間以内の自力では歩けない重症患者34人を対象に行った。免疫グロブリンにエクリズマブを加えた23人と、有効成分を含まない製剤(プラセボ)を加えた11人を、週1回の投与で6カ月間の経過を比較した。

「結果は、4週時点で自力歩行まで回復した方の割合はエクリズマブ群で61%(プラセボ群45%)、24週では92%(同72%)。さらに走れるまで回復した割合は24週で74%(同18%)です。走れるということは筋力が完全に戻って、元の生活に復帰できるということです」

 エクリズマブとの関連が否定できない重篤な有害事象として、アナフィラキシーと脳膿瘍が一部認められたが、いずれの患者も回復したという。今後は、企業主導による第Ⅲ相試験が進められる予定だ。

 新規治療が早く臨床現場で使えるようになり、従来の治療法では抑えられなかった重症患者の後遺症が大幅に減ることを期待したい。

▽1984年千葉大学医学部卒。99年豪州・プリンスオブウェールズ神経科学研究所に留学、2001年千葉大学大学院医学研究院・神経内科学講師、08年から現職。〈所属学会〉日本神経学会理事、日本神経免疫学会理事、日本神経治療学会理事など。

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