がんとは何か

<3>腫瘍ができにくいハダカデバネズミ

ハダカデバネズミ(C)日刊ゲンダイ

 実際、観察された800匹には自発的な腫瘍は1匹もみられなかったと報告されている。

■寿命は通常マウスの10倍

 なぜハダカデバネズミががんにならないのか。詳細は分かっていないが、低酸素環境でも生きられることから有害な活性酸素暴露が少ないことが想定されたり、高齢になっても異常タンパク質の除去機構の能力が高く、タンパク質合成の正確性が高いことが分かっている。

 さらに、気になるのが細胞の接触阻害能力の高さだ。正常な細胞は隣の細胞と接触するようになると、細胞周期を停止して増殖を抑制する。しかし、がんになるとこの能力が失われ、無秩序に増殖し腫瘍を形成する。

 ところがハダカデバネズミは極端に低い細胞密度で早期接触阻害を起こす仕組みがあり、それががん化を防いでいる可能性があるという。

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