がんとは何か

<4>年寄にがんが多いのはなぜか?(1)

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■細胞の酸化とコピーミス

「人間は1ミリの200分の1の細胞核の中に23対46本の染色体があり、その中に60億個の塩基があって、2万2000個の遺伝子が刻まれています。DNAが分裂するときは2本の鎖がほどけて、片側が鋳型になり、反対側の鎖が合成されるのです」(一石教授)

 このときのコピーミスの確率は1000万分の1ともいわれる。1個のDNAには60億個の塩基があるため、DNA1個の複製で600の塩基配列の異常が起こる計算になる。

 人間の体は37兆個の細胞でできており、1日当たりの細胞分裂数を考えれば、DNA複製時の突然変異数は膨大だ。

「だからといって、ただちにがん化するわけではありません。ほとんどは修復され、それが無理なら死んでしまう上、がん化するのは2~6個程度の特定の塩基配列ミスが起きた場合に限られるからです」(一石教授)

2 / 3 ページ

関連記事