がんとは何か

<4>年寄にがんが多いのはなぜか?(1)

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 細胞をがん化させるもうひとつの大きな要因は、細胞内呼吸の過程でつくられる活性酸素だ。細胞が生きていくにはエネルギーが必要で、そのエネルギー源はATP(アデノシン三リン酸)だ。これは細胞内に220~1700個近く存在するミトコンドリアと呼ばれる細胞内小器官でつくられる。

 細胞内に酸素がないときは1分子のブドウ糖から2個のATPしかつくられないが、酸素があれば40個近いATPがつくられる。このときの副産物が活性酸素で、蓄積すると細胞内のタンパクや脂質を化学的に攻撃して細胞を損傷させる。体内で消費される酸素の3%が活性酸素になるといわれ、そのダメージは大きい。細胞内には活性酸素を代謝して無害にする仕組みがあるが、年を取るとその能力が弱まり、がん化が進むという。

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