Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

日本乳癌学会“強く推奨” 遺伝性乳がんは予防切除すべきか

アンジェリーナ・ジョリー(C)日刊ゲンダイ

 毎年、乳がんと診断されるのは約8万人。昨年6月、小林麻央さんが34歳の若さで亡くなったこともあり、乳がんの怖さを思い知らされたかもしれません。そこにもってきての指針改定ですから、心配でしょう。

 命を守るという点で、予防切除の考え方は大切ですが、アンジーのように乳腺に加えて卵巣も切除するとなると、本人だけでなく家族の形に影響します。妊娠前の女性が遺伝子検査の結果で、これらの遺伝子異常を知らされたらどう思うでしょうか。パートナーの男性や両親も含めて、大きな問題を背負うことになります。

 やみくもに遺伝子検査を受けることが必ずしもいいとは思えません。遺伝子の影響は、せいぜい10%ですから、近親者に若くして乳がんや卵巣がんになった人がいなければ、それほど神経質になることはないでしょう。もしいれば、カウンセリングなど経験豊富な医療機関で検査を受けることが大切です。

 遺伝子検査は採血のみの簡単なものですが、費用は自費で20万~30万円で、予防切除も自費で70万~100万円に上りますから。

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