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肥満者は本当に増えているのか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 平成28年の国民栄養調査では、10年間の肥満者割合の推移が示されています。

 それを見ると、男性の肥満者の割合は29.7%から31.3%にわずかに増加、女性では21.4%から20.6%とわずかに減少していることが示されています。しかし、この10年間で日本全体では高齢化が進んでいますから、高齢者で肥満者の割合が低いことを考えると、実質的には肥満者の割合は増えているかもしれません。高齢者の割合が20%の集団と30%の集団を比べて、肥満者の割合が同じであれば、実質的には後者で肥満者の割合が高くなっているということです。

 そうした影響を考慮するために、年齢調整という方法がとられます。10年前と現在の年齢構成を同じとした場合の肥満者の割合を比べるのです。10年前と現在の同年齢の肥満者の割合を比べるといってもいいかもしれません。

 この調査でもこの年齢調整という方法がとられており、その数字を見ても男性で10年前が29.4%、28年が31.1%、女性ではそれぞれ20.2%と19%で、年齢調整前の数字とほとんど違いはなく、肥満者の割合に影響が出るほどの年齢構成の変化はなかったということが分かります。

 世の中的に肥満が大きく取り上げられることが多く、肥満者が増えているのかと思われる人が多いかもしれません。しかし、実際のデータを見てみると、年齢調整をして検討した妥当性の高いデータでも、この10年で肥満者の割合は、男女ともほとんど変化がないことが示されています。

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。7月末に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)を出すなど著書多数。

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