■炎症性サイトカインが大量に分泌される
細胞老化した細胞は死なずにある程度の期間体内にとどまるため、どんどん蓄積される。そこからさまざまな炎症性サイトカインを分泌する。これを細胞老化分泌現象(SASP)という。これが細胞の新たながん化を促している可能性があるという。
「がん組織には、がん細胞とがん組織の間にあってがん細胞を支援する“がん微小環境”というものが存在することがわかっています。これは線維芽細胞、炎症細胞、免疫細胞、血管、リンパ管から構成され、がん細胞が生きていくうえでは欠かせません。細胞老化した細胞が重なりあった箇所ががん微小環境になっている可能性があるのです」(一石教授)
実は肥満にがんが多いのはこのがん微小環境システムが関係しているのだという。
「高脂肪食を食べさせたマウスは各所で、細胞周期を停止させる働きがあるP16やP21遺伝子の発現が強まっていることが確認されています。肥満になると細胞周期がストップした細胞老化の細胞が増えてSASP作用を起こし、がん微小環境をつくっていると考えられるのです」(一石教授)
がんとは何か