がんと向き合い生きていく

「連携手帳」はがん患者が安心して自宅で過ごすために役立つ

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 2010年4月からは手帳作成による診療報酬が決まり、手帳は拠点病院、認定病院などで作成され、かかりつけ医で普段の経過を書いていただくということになりました。連携手帳とお薬手帳を持っていれば安心という体制になったのです。

 ところが、拠点病院ではない地域の中小病院でもがんの手術や診療が行われているのに、そうした施設では手帳を作れないのか。他県からの患者の扱いはどうするのか。これまでの診療情報提供書はどうなるのか……といった問題もあり、現在でも十分に普及しているとはいえない状況だといえます。そして、国は今後、こうした連携手帳を見直すことになっています。

 ただでさえ、入院期間の短縮、医療費削減、在宅医療がより推進されています。そうした現状で見直しされるこの連携手帳も、あくまで患者中心の医療であってほしいと願っています。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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