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苦いカボチャはハゲに? 成分の正体と危険性を知る

苦いカボチャは危険(C)日刊ゲンダイ

 細菌などによる食中毒は、原因となる食品を食べてから、2、3日後に症状が出ることが多いのですが、毒性のある成分による中毒は、食べてからすぐに症状が出ることもあります。

 今年の皮膚科の専門誌に「カボチャを食べてからすぐに食中毒のような症状が出現し、その後に脱毛が起こった」という、ビックリするような症例が報告されています。ある事例では、苦味のあるカボチャのスープを飲んでから1時間後に、激しい嘔吐と下痢が出現。それから1週間以上経って脱毛が始まり、数カ月後には改善していました。

 実はカボチャやキュウリなどのウリ科の植物の苦味の成分には、ククルビタシンという物質が含まれていて、それをたくさん食べると食中毒のような症状が起こり、その後に脱毛が起こるようなのです。ククルビタシンはステロイドの一種で、強い細胞毒性があるので、それが毛根に一時的な障害を与えるようです。野生のウリ科の植物にはククルビタシンが多く含まれているのですが、通常食用の野菜や果物では、品種改良によりそうした成分はほとんど含まれていないのです。ところが、虫の受粉などを介して形質が変化すると、ククルビタシンの多い野菜や果物が、混じってしまうこともあるようです。いつもは苦くないカボチャが苦い時には、危険と考えて食べない方が賢明です。

 ちなみにゴーヤーの苦味は別の成分なので心配はありません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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