経口ステロイド薬が減量できる「重症喘息」新薬の実力

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ベンラリズマブは、薬価収載前までに全国の病院で100例以上の患者に倫理的無償提供されたが、堀口教授の患者8例をはじめ、良好な結果が出ている。

「経口ステロイド薬は骨粗しょう症や骨折、筋力低下、白内障などさまざまな副作用があります。一方、ベンラリズマブは皮下注射で大きな有害事象がなく、注射部位の反応や軽度の頭痛程度。生物学的製剤のオマリズマブはすでに経口ステロイド薬より先に用いられるようになっており、ベンラリズマブも今後そうなっていくでしょう」

■基本治療が十分に行われていない人も

 なお、「新薬で症状コントロールが可能になれば、いつか薬をやめられるのか?」という疑問に対しては、現段階では「継続が基本」。

 重症喘息における治療の選択肢は増えてきた。

 一方で、喘息治療が適切に行われていない現状を問題視する専門医は多い。重症喘息患者のうち3割は一般内科医が診ており、生物学的製剤を提案されていない患者は非常に多い。また、重症喘息患者の9割は「軽症または中等症」とみなし、約6割が「(症状が)コントロールされた状態」と認識していることを示す意識調査もある。

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