がんとは何か

<7>「環境」か「宿命」か 世界的学術雑誌が真っ向対立

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 では、なぜ、高齢になるとがんになるのか?

「ある時点で急にDNAを修復するシステムに異常が起きるわけではないし、がん遺伝子が急に暴れ出すわけでもありません。結局、細胞分裂時のDNAのコピーミスや細胞呼吸に細胞の酸化など、生きていく上で避けられないことによりDNAの塩基配列が変異するのでしょう」

 ただし、DNAの塩基配列が変わればすぐにがんになるわけではない。がんになるのはがん抑制遺伝子やがん遺伝子と呼ばれる遺伝子が2~5個程度に変異があった場合と考えられている。ごく最近はたった一つの変異でもがんになり得ることも報告されている。

「その意味でがんは一つの細胞に起きた不幸な偶然で起きるもので、環境要因によるものは、以前考えられたよりも大きくないと考えられます」

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