Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

小林麻央さんは34歳で他界 15~39歳“AYA世代”のがんの特徴

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 毎年がんと診断される人は全体で100万人を超え、男性は胃がん、肺がん、前立腺がんの順で、女性は乳がん、大腸がん、胃がんの順。こうしてみると、AYA世代のがんは全体のがんの傾向と、事情が全く違うことが分かるでしょう。だからこそ、一般の人にも知ってもらい、支援体制を手厚くすることがとても重要なのです。

 AYA世代にこのようながんが発生する明確な原因は分かりませんが、ハイティーンや20代に生殖器のがんが多いのは第2次性徴の影響が大きいでしょう。30代の乳がんは女性ホルモンの影響、子宮頚がんはセックスに伴うウイルス感染が原因と思われます。

 糟谷さんのケースからも分かるように、前向きに治療に取り組めば、AYA世代のがんも治る可能性は十分あります。小児の白血病も7割以上が治りますから、決してあきらめてはいけません。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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