気鋭の医師 注目の医療

ウイルスサイズの医療ロボットが認知症やがんを治療する

片岡一則センター長(C)日刊ゲンダイ

 ナノマシンが狙う病気は、がんだけじゃない。脳腫瘍やアルツハイマー病といった脳の病気や高齢者に多い変形性膝関節症など、運動器や感覚器の治療のための最新ナノマシンの開発も進んでいる。

「脳には異物の侵入を阻むための血液脳関門というバリアーがあり、薬はもちろん、脳に必要なグルコースやアミノ酸以外は届きにくい。そこで、患者さんが空腹時にグルコース分子を表面に付けたナノマシンを注射する方法を開発しています。その後に食事をしてもらい、食事から得たグルコースとともに一気に脳内に侵入させるのです。この方法なら従来の100倍以上の薬を脳内に届けることができます」

 弾力を失い、すり減った関節軟骨に対してはメッセンジャーRNA(タンパク質合成の遺伝情報を写し取って伝えるリボ核酸)を搭載したナノマシンを注入することで軟骨細胞を刺激し、再生を促す研究も行っている。

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