「誰でも楽しいことに夢中になって食べるのを忘れた経験があるでしょう。これは脳内が快楽ホルモンであるドーパミンで満たされるからです。歌を歌うことによって得られる快感は、まさにこのドーパミンの分泌によるものです。それが、食欲抑制につながるのです」
カラオケが糖尿病患者の運動療法に通じるといっても、ただ、マイクを握って歌えばいいわけでもない。周囲には必ず聴衆者がおり、そのため最低限のエチケットも考慮する必要がある。
音楽機関誌に「カラオケと健康」をテーマに連載している佳山明生さんは、「氷雨」のヒット曲でも知られるベテラン歌手。「カラオケ教室」を開くかたわら、主に関東圏にある老人ホームなどの招きで、歌指導に奔走している。
「最初は黙って聞いていた高齢者の方もマイクを握っていただくと徐々に歌うようになります。そうなると観客の目を意識してほめてもらえるよう、姿勢を正し、感情をこめて歌うようになります。単に運動になるだけでなく、コミュニケーションもとれる。カラオケは健康の基本と考えてもいいと思います」
カラオケ療法