専門家に学ぶ 喘息コントロール術

治療の基本は吸入 かかりつけ薬剤師が専門医不足を補う

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 喘息患者は約800万人といわれていますが、呼吸器専門医はそれに見合った数ではなく、多くの患者さんは一般内科医に診てもらっています。

 軽症であればそれでも問題ないでしょうが、重症になると、適切でない治療が喘息死を招く結果になりかねません。

 呼吸器専門医の地域間の偏在を明らかにした調査もあり、それによると、病院当たりの呼吸器専門医数が少ないほど、喘息死亡率およびCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の死亡率が上昇するという結果も出ています。

 COPDとは、たばこの煙など有害物質を長期に吸入したことで生じる肺の炎症による病気です。

 東京は、ほかの地域に比べて呼吸器専門医が多いものの、だれもが呼吸器専門医に診てもらっている状況ではありません。そこで始めたのが、薬剤師さんなどを対象にした勉強会です。

 喘息治療の基本である吸入ステロイド薬などの吸入薬は、吸入の仕方を間違えているケースが多く、きちんと吸入できていないがゆえに喘息の症状をコントロールできていない人も珍しくありません。

 医師がステロイドの吸入指導をしっかりできれば一番ですが、その時間をなかなか取れないのが現状です。

 そこで、薬剤師さんにも、かかりつけ薬剤師として吸入指導に積極的に参加してもらう試みが全国的に広まっています。患者さんにとっても、医師より薬剤師さんの方が気軽に相談しやすいようで、好評です。

 さらには、地域連携の強化にも力を入れています。NTT東日本関東病院がある品川区には呼吸器専門医で開業している先生が極めて少ないのが現状。そこで、専門医でなくても呼吸器疾患をたくさん診ているキーマンとなるような影響力のある内科医と連携して、適切な治療が一人でも多くの患者さんにつながるようにしています。

(NTT東日本関東病院呼吸器センター・放生雅章センター長)

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