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米で増える自殺者 陰に処方薬・市販薬の副作用との関係が

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 アメリカを代表する2人のセレブ、デザイナーのケイト・スペードと、シェフのアンソニー・ボーデインが、立て続けに自らの手で命を絶ちました。この痛ましいニュースは日本でも報道されたのでご存じの方もいるでしょう。

 アメリカではここ20年間で自殺が増え続け、疾病対策センターの発表では1999年から2016年の間に25%も増加。16年の1年間だけでも4万5000人が亡くなっています。

 そしてくしくも同じ時期、「ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション」に自殺と医薬品の関係についての調査結果が掲載され、注目を集めました。イリノイ大学とコロンビア大学が共同で、2万6000人を対象に05年から10年間にわたって調査したところ、37%の人が「副作用としてうつ病と自殺願望を持つ可能性がある薬」を飲んでいたことがわかりました。

 こうした副作用がある薬は現在、処方薬や市販薬を含め約200種類あり、血圧や心臓、制酸薬、避妊薬など広い範囲にわたっています。こうした薬を1種類だけ飲んでいてうつを経験した人は7%と低いのですが、同時に3種類以上を飲んでいた人の場合、その確率は15%に跳ね上がったといいます。

 調査に当たった研究者は、「近年、何種類もの薬を投与するケースが増えている。特に市販薬にはこうした副作用が表示されていなかったり、処方薬でもパンフレットをよく読まないとわからない場合もある。自分が飲んでいる薬について、自殺につながる副作用がないかどうか、ホームドクターに尋ねるなどして、もっと注意するようにしてほしい」と呼びかけています。

 アメリカではこうした記事には多くの場合、「スーサイド・ホットライン」(いのちの電話)の番号が掲載されています。

 そこで、ここには「日本いのちの電話連盟」のウェブサイトを載せておきたいと思います。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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