血液が血管内で凝固したものが「血栓」です。ある程度大きいものは血管を塞いでしまうため、命に関わることもあります。脳梗塞と心筋梗塞は特に有名です。また肺の血管で詰まれば、肺塞栓症(エコノミークラス症候群)を引き起こします。
O型血液は固まりにくいため、外傷などには不利ですが、逆に血栓ができにくい分だけ、これらの病気に襲われるリスクが低めであることが知られています。
特に差が大きいのが、足などの静脈にできる血栓です。血流が緩やかになるため、血栓ができやすくなるのです。できた血栓が大腿部の太い静脈を塞ぐと「深部静脈血栓症」になります。足全体がむくみ、痛みが生じます。
しかし血栓が剥がれて心臓に向かって流れ始めると、もっと危険です。心臓の右心房から右心室を経て、肺動脈へと流れていき、肺内で血管を塞いでしまうのです。これが「肺塞栓症」と呼ばれる病気です。細い血管なら、多少胸が痛んだり、息苦しくなったりする程度で済みますが、太い血管が詰まると、激しい痛みや呼吸困難に襲われ、命を落とすこともあります。
<2>手術中の出血に差はないがO型は血液凝固因子が薄い
- 2018年06月20日
<4>動脈系の血栓症でも非O型より若干有利
- 2018年06月22日
永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。