気鋭の医師 注目の医療

0期でも正解率98% 血液1滴でがん13種類が早期発見できる

加藤健医長(提供写真)

■尿や唾液による検査も研究

 マイクロRNAは約2600種類のすべてを調べる必要はなく、1つのがん種当たり3~5種類程度で調べている。

 ただし、これまではバイオバンクのサンプルを使って研究していたので、血液の保存期間が3~5年と長かった。年月が経つと血中のマイクロRNAが減る。

 そのため、昨年9月から新鮮な血液でデータを取ろうと、患者から採血した早い時点で分析をする前向きな臨床研究を始めている。

「最終的な目標は、この技術を用いて企業に検査キットを作ってもらい、安価で検査が受けられるようにすることです。それには、消化器がん、泌尿器がん、肺がんなど、部位に分けた検査も考えていて、こちらも臨床研究を始めています」

 マイクロRNAは血液だけでなく、尿や唾液などにも含まれるという。次世代のがん検診に期待したい。

▽1995年産業医科大学医学部卒後、九州大学大学院医学系研究院修了。04年から国立がん研究センター中央病院・消化管内科に勤務し、12年に医長、15年からバイオバンク・トランスレーショナルリサーチ支援室・室長を兼務。〈所属学会〉日本内科学会、日本臨床腫瘍学会、日本食道学会

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