母は弱りきった声で「もう絶望感しかないの」と、電話口で泣き出した。そこで父だけでなく母もインフルエンザに感染したことを知る。夜、タクシーをとばして実家へ。高熱で疲労困憊の母、そして首の回りがドス黒く内出血している父が床に転がっていた。介護に絶望した母が渾身の力で父の首を絞めたのかと思った。違った。
熱は下がったものの、手足にまったく力が入らない父は転倒し、手すりに顎を強くぶつけたのだ。床に転がった父を高熱の母は助けることもできず、老々介護の限界を目の当たりにした。本当はずっと前から限界だったのだ。
これを機に施設入居を決意。担当のケアマネジャーに相談し、介護認定の区分変更申請、ショートステイの手配、新設の特別養護老人ホーム(特養)への申し込みをお願いした。最良の選択をしたいので、特養とは別に12軒の施設の資料を入手し、4軒は見学もした。
実録 父親がボケた