実録 父親がボケた

<10>「もう絶望感しかないの…」母が電話口で泣き出した

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 母は弱りきった声で「もう絶望感しかないの」と、電話口で泣き出した。そこで父だけでなく母もインフルエンザに感染したことを知る。夜、タクシーをとばして実家へ。高熱で疲労困憊の母、そして首の回りがドス黒く内出血している父が床に転がっていた。介護に絶望した母が渾身の力で父の首を絞めたのかと思った。違った。

 熱は下がったものの、手足にまったく力が入らない父は転倒し、手すりに顎を強くぶつけたのだ。床に転がった父を高熱の母は助けることもできず、老々介護の限界を目の当たりにした。本当はずっと前から限界だったのだ。 

 これを機に施設入居を決意。担当のケアマネジャーに相談し、介護認定の区分変更申請、ショートステイの手配、新設の特別養護老人ホーム(特養)への申し込みをお願いした。最良の選択をしたいので、特養とは別に12軒の施設の資料を入手し、4軒は見学もした。

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吉田潮

1972年生まれ、千葉県出身。ライター、イラストレーター、テレビ評論家。「産まないことは『逃げ』ですか?」など著書多数

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