医者も知らない医学の新常識

専門誌に掲載 認知症になりにくい睡眠時間は5~6時間台

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 皆さんは何時間くらい眠っていますか? 

 心地良く十分な眠りが健康のバロメーターであることは、科学的にも実証されている事実です。ただ、病気の性質によっても、どのくらいの睡眠時間がいいのかには違いがあるようです。

 それでは、認知症になりにくい睡眠時間はどのくらいでしょうか? 今年の老年医学の専門誌に掲載された論文によると、1日5~6時間台くらいの睡眠時間が、60歳以上の年齢では最も認知症のリスクが少なくなっていて、睡眠時間が5時間を切っていても、10時間以上でも、どちらもそのリスクが増加していました。

 しかし、睡眠薬を常用していると、睡眠時間は6時間くらいでも、5時間を切る人と同じくらいにリスクは増加していたのです。

 最近注目されている認知症のひとつである、レビー小体型認知症という病気では、レム睡眠行動異常といって、夜に夢を見ていて、体が動いて暴れたりする、といった症状が、認知症を発症するずっと前から見られる、という報告があります。

 昼間の眠気が強かったり、昼寝の時間が長いと、これも認知症のリスクになるという報告もあります。

 このように単純に睡眠時間だけの問題ではなく、どれだけ自然な眠りがしっかり取れているのかが、認知症の危険を減らすことになるようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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