血中に高度に濃縮されたビタミンDが、大腸がんのリスクを下げているかもしれない――このような調査が国立がん研究所ジャーナルに発表され、大きな話題になっています。
アメリカでは、大腸がんで亡くなる人は肺がん、乳がんに次ぎ3番目に多く、毎年5万人もが亡くなっています。
実はこれまでもビタミンDと大腸がんの関係は研究されていましたが、どれも規模が小さく、決定的な結論には至っていませんでした。
今回発表された調査は、国立がん研究所、米国がん協会、ハーバード大学など世界中から20カ所の病院や研究所が参加して行われたもので、5700人の大腸がん患者と、そうでない7000人が対象となりました。
結果、ビタミンDの摂取が基準値よりも少なかった人、特に女性は大腸がんにかかるリスクが30%上昇。血中のビタミンDが多かった人は逆に、そのリスクが22%減少したといいます。
このデータから「女性の大腸がんリスクとビタミンDはかなり強い関連性がある」と分かったのですが、理由はまだ解明されていません。
調査に参加した米国がん協会のディレクター、マージ・マッカロク氏は「ビタミンDが女性ホルモンに何らかの影響を及ぼす、またはビタミンDががん細胞自体の増殖を抑える。もしかするとがん細胞を殺している可能性もある」とコメントしています。
しかし、ビタミンDを大量摂取しても効果が増大するわけではないようです。
ビタミンDサプリががんの予防になる確証がない今、もしビタミンDを意識して取るなら、ビタミンDリッチな食品、具体的には魚や乳製品などから摂取した方がいいという専門家も。
日光に当たることでも体内のビタミンDは増えますが、こちらは逆に皮膚がんのリスクを高めるので、避けたほうがいいと呼びかけています。
ニューヨークからお届けします。