O型血液は、マラリアへの対抗手段として生み出されたものですが、副産物として「血液が固まりにくい」という形質も獲得しました。
このことは、O型が他の血液型よりも静脈血栓症や心筋梗塞などになりにくい、という思わぬメリットをもたらしました。しかしその一方で、外傷などの出血が止まりにくく、失血死に至るリスクが高いという不利益にもつながっています。
ところがそれだけでなく、O型は「がんにかかりにくい」という性質も獲得しているのです。
もちろんすべてのがんというわけではありません。世界的にコンセンサスが得られているのは、いまのところ膵臓がんと胃がんです。
その他のがんでは、O型が有利とする研究結果もありますが、差はほとんど見られないとする研究結果も多く、コンセンサスは得られていません。
膵臓がんに関しては、2009年に出たアメリカの国立がん研究所の論文が有名です。
<6>血液型で抵抗力にも差が 病気と世界の分布
- 2018年06月27日
<8>B型には及ばないものの…O型は胃がんにもかかりにくい
- 2018年06月29日
永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。