O型血液は特別なのか?

<7>膵臓がんになりにくい? B型は1.72倍も高いのに

(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 医療従事者10万7000人に、約9年間にわたって追跡調査するという大規模な研究でした。この間に316人が膵臓がんを発症。対象者と発症者の血液型分布から、O型と比較して、B型のリスクが1・72倍、AB型が1・51倍、A型が1・32倍も高いことが明らかになったのです。

 その後、世界中の大学や研究機関で確認の研究が行われ、これとほぼ同様の結果が次々と得られたのでした。現在ではB型やAB型の膵臓がんのリスクがO型の1・5倍前後、A型では1・3倍前後とされています。

 日本でも、愛知県がんセンターが、過去の患者データをもとに解析を行っています。やはりB型のリスクが最も高いのですが、とりわけBB型の人で、なんと3・28倍という結果が出ています。

 ただ、残念ながら、A型やB型の人が、自分はAOやBOなのか、AAやBBなのかを簡単に調べる方法はありません。病院で頼めばやってくれるはずですが、健康保険が利かないので実費ということになります。

 しかしなぜO型は膵臓がんにかかりにくく、B型やAB型がかかりやすいのでしょうか。

 遺伝子解析などさまざまな研究が行われていますが、残念ながらいまでもよく分かっていません。また血液型は持って生まれたものなので、予防対策も立てにくい話ではあります。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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