正社員で働く発達障害の人々

「発達障害の診断に“やっぱり”と納得する気持ちでした」

篠聡志さん(提供写真)

「介護施設では、高齢者に対して、ほかのスタッフがしているようにうまく話しかけることができませんでした。仕事で分からないことがあっても、どのように先輩に聞いていいか分からないんです」

■大学卒業後に就職した介護施設は9カ月で退職

 入浴の介助をしていて、一度教わったはずなのに分からないことが出てくるときがある。そばに先輩や上司はいないし、いても忙しそうで、いつ聞いていいのか分からない。結局、不安なまま仕事をこなし続けるしかなかったと篠さんは話す。

「結局、ほかのスタッフともうまくいかず、叱責されることも増えていって。気分が落ち込むことが多くなり、退職してしまったんです」

 退職後、周囲とうまく合わせることができないのは、自分が発達障害だからなのではと考えた篠さん。最初に訪れたのは、東京都世田谷区にある、東京都発達障害者支援センター(TOSCA)。同センターでは、都内に住んでいる発達障害者やその家族に対し、相談支援や関係機関の紹介を無料で行っている。そこで紹介されたのが、冒頭の橋本クリニックだった。

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