正社員で働く発達障害の人々

「大学ではいつもひとりのいわゆる“ぼっち”生活でした」

篠聡志さん(提供写真)

 現在の就職活動は、就活サイトを中心に進められ、早めのインターンも常態化しており、そのシステムは複雑を極める。高度なコミュニケーションスキルと情報収集力を求められるため、どこから手をつけたらよいか分からず、始める前から挫折する学生も多い。篠さんも例外ではなかった。

「結局、学生時代からボランティアをしていた介護施設に就職することに決め、介護の資格も取りました。でも、その介護施設での仕事もうまくいかなかった」

 介護施設のボランティアは、大学で人と接することのない生活を送っていた篠さんを見かねて、母親が知り合いの施設を紹介してくれたものだった。デイサービスのスタッフとして、レクリエーションや食事の介護を担当していたが、同僚や上司とのコミュニケーションがうまくいかず、9カ月で退職してしまう。

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