独白 愉快な“病人”たち

ダ・カーポ榊原政敏さん ギター姿勢が招いた“職業病”体験

ダ・カーポの榊原政敏さん(後ろは妻・広子さん)(C)日刊ゲンダイ

■妻に「おまえひとりでやってくれ」と言い放った

 過去に妻が股関節症で入院した時は、彼女は一般病棟を選んで賑やかにやっていましたが、ボクは個室にしてもらいました。

 病室の扉は閉めっぱなし。誰とも会いたくないし、誰とも話したくなかったんです。苦しくて赤ちゃんみたいにベッドで丸くなってハァハァ言っていました。それなのに、妻は次々とお見舞いの人を連れてくるんですよ(笑い)。元気づけようとしてくれているのはわかったんですけど、「こんな苦しい時に……」と思いました。

 体もきつかったですが、精神的にもダメージが大きくて、情けない話ですが「こんなんじゃもうギターも持てないし、歌も歌えない」と思いました。先が見えない苦しさで人生を悲観したんです。そして思い詰めた結果、妻に「俺、もう歌わないからおまえひとりでやってくれよ」と言い放っていました。それくらいすべての気力を失ったのです。

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