独白 愉快な“病人”たち

ダ・カーポ榊原政敏さん ギター姿勢が招いた“職業病”体験

ダ・カーポの榊原政敏さん(後ろは妻・広子さん)(C)日刊ゲンダイ

 でも、数日後、妻はこう言いました。「じゃあ、私ひとりでやるわ。最近ひとりでステージをやってみたら案外気楽でいいのよ。でも、あなたはこれからどう生きるの?」と……。そう言われてよくよく考えたら、音楽をやめたら何にも残らないことに気づいたんです。「音楽やめたらみじめな人生だな」とね。

 妻は、ボクがそう思うだろうことを完全に見越していたようです。「俺、やっぱりやる」と妻に宣言したら、急に「早く退院しなくちゃ」と思い、前向きになれました。

 退院してからは、骨折のケアが主な仕事でした。妻が股関節症でお世話になった理学療法士の先生にお願いして週1回、自宅まで来ていただいて、半年間ほど段階を追ってリハビリの方法を教わりました。ステージの楽屋でケアしてくれたこともありました。まさに“神の手”で、最大の癒やしでした。

 教わった体操は、起き抜けに30分、今でも毎朝実行しています。あおむけで膝を立てて左右に振ったり、両膝を抱えてギュッと引き寄せたり、腹筋やブリッジ、体幹トレーニングなど10種類ぐらいのポーズをします。おかげさまで今はどこも痛くありません。

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