正社員で働く発達障害の人々

発達障害を明かした上で面接 「オープン就労」を心がけた

福田晃平さん
福田晃平さん(提供写真)

 発達障害の診断を受けた福田晃平さん(32歳)が、就職活動でまず利用したのは、地域障害者職業センター。各都道府県にあるこのセンターは、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構により運営されていて、障害者職業カウンセラーが、ハローワークと連携しながら、職業相談や職業準備支援などを行っている。利用は無料だ。

「このセンターでは、自分にとって働きやすい環境とはどのようなものか、本当にしたい仕事とは何か、を明確にしていくことができました」

 その後、福田さんは、障害者向けの人材紹介サービスであるリクルートアビリティスタッフィングを利用。就職活動をしたが、当時の福田さんは、一人暮らし。生活費を稼ぐためのアルバイトもしていて、ハードな生活だったという。

「工事現場やタイル貼りの仕事をしていたのですが、現場に行くために朝3時に起きたりして、つらかったです。いつ面接が入るのか分からないので、バイトのシフトもなかなか出せないし、面接のたびにかかる交通費も痛手でした」

 そんな中、リクルートアビリティスタッフィングから紹介されたのが、LITALICOジュニアだった。㈱LITALICOが運営する、発達障害の子供に対する教育支援を行っている教室である。かねて子供と接する仕事がしたいと思っていた福田さん。自分と同じ発達障害で困っている子供たちの力になりたいと思い、応募することに。

 これまでの就職と違ったのは、自分の発達障害を明らかにした上で面接を受けたこと。これを障害者雇用の世界ではオープン就労といい、障害を明かさずに仕事に就くことをクローズ就労という。

「面接では、障害をマイナスに捉えるのではなく、ポジティブに向かい合えていることをアピールしました」

 苦手としている仕事についても正直に話した福田さん。指示を聞き取るのが不得意なので、よく分からなかったときは聞き返すようにしていること。横書きの文章を読むのが苦手なのだが、読んでいる行の下に紙を置いて、下の行が見えないようにすると読みやすくなることなど、自分なりの対処法を伝えた。

「LITALICOの面接では、うつ病になったことや、発達障害の診断を受けたことも、ネガティブに受け止められませんでした。『そういう経験もうちの仕事には役立つと思いますよ』と言ってくれたんです。ワーキングホリデーで外国に行っていた話も、ほかの企業ではあまり反応が良くなかったのですが、LITALICOの方は楽しそうに聞いてくれて、ここなら働けるのでは、と思うことができました」

(つづく)

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